替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
見知らぬ場所で




「……い、いた……」



あたりは静まり返り、何の音もしない。
しかも、墨で塗りつぶしたみたいに真っ暗だ。
さっきは、目を開けることも出来ないくらいに眩しかったっていうのに…まだ、目には残像が残ってるのに、今、ここは暗闇なのだ。



それよりも気になったのは、体の痛みだ。
インフルエンザにかかった時の関節の痛みよりもずっと痛い。
しかも、痛みは全身だ。



何度か起き上がろうとしたけれど、痛くて起き上がれない。
私は起き上がるのを諦め、そのままその場に横たわっていた。
そんなに寒くはないし、肌に触れる地面はしっとりとしている。



(ここ、どこなんだろう?
室内じゃないよね。
葉擦れの音がするし、風も感じるから、外なのは間違いないと思うけど…でも、なんで?
さっきは、うちのリビングだったのに…どういうこと!?)



考えてみても、答えには辿り着けない。
手がかりさえ何もない。



「わっ!」



突然響いた音に、私は思わず声を上げてしまった。
多分、今のは鳥の羽ばたきだったと思う。
ってことは、きっとここが外だっていう推測は間違ってない。



だけど、どこかわからない外に横たわってるのかと思ったら、不安な気持ちは大きくなった。
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