替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
side フェルナン




(ここがヴァリアン王国か……)



私が長年住んでいたジャミナとは違い、寒いだけではなく、どこか人を寄せ付けないような高潔さを感じた。







サキにすべてを打ち明けられた後…
私は、どうしたものかと考えながら、たどり着いたのは結局、自分の家だった。



家には、サキの残していったものがあった。
最初に会った時に着ていた外套や男の服だ。
それを見た途端、懐かしさに胸が熱くなった。



台所に行けば、台所で…
荒れた畑に出れば、畑で…
サキとの思い出が頭をかすめた。



それは辛いことだけれど、反面愛しい思い出でもあった。
私はしばらく家に留まり、これからのことを考えた。



恥ずかしくも、サキを想い涙が止まらない夜もあった。



けれど、諦めなければいけないという想いも大きくはなっていた。
リゴレットからここに戻って来るまでに、少しずつ心の整理が出来たのだろう。



ところが、ある日…思いがけないことが起きた。
リゴレットからの使者が来たのだ。
使者は、シャルア様からの預かりものだと言って、大きな箱を置いて行った。



開けてみると、その中には金貨や宝石が入っていた。
サンドラさんからの短い手紙も入っており、そこにはサキを助けてくれたお礼だと書いてあった。
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