替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
婚礼の夜Ⅱ
「そんなことがあったんですか?
それでは詳しいことはわからないままなんですか?」

「そうなんだ。
何ひとつわからない。」

「ヴァリアンの国王陛下は、フェルナンさんに、ヴァリアン王家の血が流れていると言われてましたよね。」

「そうだな。私もあの時初めて聞いたよ。」



とても不可解な話だ。
でも、ヴァリアンの紋章の入ったペンダントを持ってたってことは、きっと、ヴァリアン王家となんらかの関係があるはずだよね。
それに、魔法使いたちの神託も、フェルナンさんを選んだんだもの。
絶対に、なんか関係があるんだと思う。



「そういえば、フェルナンさんはリゴレットに来て下さるんですよね?」

「そのようだ。
ヴァリアンはルーサーが継ぎ、私はこの国に入るようだ。」

「そうなんですね。」



これで、リゴレットも安泰だ。



(シャルアさん、きっと喜んでくれるだろうな。)



「フェルナンさん、そのうちシャルアさんに会っていただけますか?」

「あぁ、もちろんだ。
ぜひ、お会いしたい。」



シャルアさんにはフェルナンさんのことも話してるし、きっと、喜んでくれるはず。



「フェルナンさん、あ、あの...これからどうぞよろしくお願いします。」

「こちらこそ。
サキ……私は君を幸せにするために、最善を尽くす。」



フェルナンさんに抱き寄せられて、軽い口付けを交わした。
唇がほんの少し触れただけなのに、心の中は温かいもので満たされた。



これからはずっと一緒なんだ。
気持ちを偽る必要も無い。
どれほどフェルナンさんを愛しても、もう誰にも文句は言われない。



(幸せだな…)



フェルナンさんの腕の中で、私は甘い幸せに酔いしれた。
長い間話してたせいで、気が付けば窓の外はもう白み始めていた。
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