替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
逃亡の果てに
「……一旦、町に戻ろう。」

「町へ?ど、どうしてですか?」

「こっちの道は、危険だ。
だが、街道にも奴らの仲間がいるかもしれない。
だから、南下しようと思う。」

「南下…?で、では、家には戻らないんですか?」

「そういうことになるな。」

なんだか大変なことになって来た。
でも、フェルナンさんの言う通りかもしれない。
ランダスの村で聞き込みでもされれば、フェルナンさんの家は容易にバレてしまう。
だったら、もうあの家は捨てて、どこかに行くべきだろう。
幸い、特別大事なものはあそこにはないから、特に未練はないけれど…



「この先は、どんな町があるんですか?」

「それが…私は、ここより南には行ったことがないから、詳しいことは知らないんだ。」

「そうなんですか。どこかに地図は売ってないんですか?」

「地図…?そんなもの高くてとても買えるもんじゃない。」

「そ、そうなんですね。」

スマホさえあれば、どこのことだってすぐに調べられる私達の世界とは、本当に違う。
地図ももしかしたら手描きなのかな?
印刷なんて技術もまだなさそうだもの…
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