みんとキャンディ
いつか王子様が……
自分の見た目が嫌い。





こう言って友達に顰蹙の嵐を買ったのは、思春期真っ只中の中学生の頃だった。



外見への悩みなんて挙げればキリがない。


伸びない身長に、減ることを知らない体重。


本人の気持ちなんて無視で荒れる肌に髪の毛……。



尽きない悩みは増える一方……。




せめてもう少し目が大きければ……。



もう少し鼻筋が、口が…………小さな欲も言い出せばキリがない。




そのいずれにも該当するわけでもないのに、



高月 聖梨(ひじり)の外見への悩みは、極めて深刻だった。



スラリと伸びた175センチの身長に、


切れ長な二重と通った鼻筋の中性的な顔立ちに、柔らかい癖を持ったセミロングがよく似合う。



茶色がかった瞳に髪に、透き通るように白い肌。



聖梨が微笑めば背景には薔薇が散り、



まるでどこぞの王子様でも降臨したのではないかと思わせるような女子たちの黄色い悲鳴……。





……聖梨はそれが苦手だった。




聖梨に理想の王子様像を求めて向けられる後輩女子たちの眼差し。



そんな女子たちの視線を受け取る度に、聖梨はいつも泣きたくなった。


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