みんとキャンディ
キミしか見えないから
「高月」



昼休み。



優季と雑談をしていた聖梨を、廊下から呼び出す男子が一人。



不思議そうに歩み寄る聖梨を、



「ちょっといい?」



こう言って彼は廊下へと促した。



「サッカー部でキャプテンやってる吉井って言うんだけど……」



サッカー部



この単語に、聖梨の顔は一瞬で強ばった。



「……雄楽くんのこと?」



言うより先に切り出した聖梨に、黙って彼は頷く。



「雄楽と付き合ってんの?」


「……そんなんじゃない……けど」



付き合っているわけじゃない。



でも、



ただの先輩後輩でないことは確か。



気まずげに俯く聖梨に、向かいに立つ彼の口がゆっくりと開いた。



「だったらさ……アイツとしばらく会わないでもらえないかな?」


聖梨が予想していた通りの言葉に、聖梨は苦しげに顔をしかめた。



「俺が言うことじゃないってわかってんだけどさ……アイツ、キミのことってなると見境なくなるみたいだから……」



黙り込んだ二人の間に、重たい沈黙が流れた。


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