憧れのアナタと大嫌いなアイツ

嫌な予感


取締役会の決議を通った企画が動き出した

企画室はいつもより活気に溢れて
先輩達からも“頑張れ”って声が事あるごとにかかる

その声を貰うたびに背筋を伸ばして喝を入れ
藤堂室長に見合う自分になることを考えていた


「長谷川流へのアポは何時だった?」

少し離れた席の藤堂室長から声がかかる

「13時ですっ」

「じゃあ11時には出るぞ」

「・・・は、はい」

勢いに任せて立ち上がるとフロアの人の手が止まり注目を集めた

ーーシマッターー

ストンと椅子に腰を下ろしパソコンの画面に集中する振りをして

耳まで真っ赤になったであろう熱い顔を隠した

13時アポなのにどうして11時?そんな疑問を持ったけれどもう一度立ち上がって確認出来る状況ではなくて独り言ちた


* * *


【華道家が手掛ける贅沢ウエディングプラン】

長谷川流への企画書をチェックしながら
ソルテのパンフレットを揃え

ビジネスバッグへ書類を入れ終える頃には
違う意味でのドキドキが迫ってきて

何度もフロアの壁にかかる時計を見上げてしまう

腕時計もスマートフォンもパソコンでも時間は表示されているのに

こんなにも落ち着かないのは・・・






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