最後の告白
最後の告白
「えっ?」


残業で帰宅が遅くなり、とっておいてもらった夕食に手をつけ始めたとき、ご飯をよそってくれた母の言葉を聞き直した。



「だから、お隣のあっくん。とうとう結婚するんだって」



「...あっくん、が、結婚...?」



「そう!みっちゃんが興奮して報告にきたのよ。『もう30歳になるのに、どうするつもりなの!』って問い詰めたら、『近いうちに連れてくる』って。『結婚するの?』って言ったら『そうだ』って」



たぶん、あっくんのお母さん(みっちゃん)並みに興奮して私に話す母のテンションとは逆に、私の心はすっかり冷えてしまった。



「莉緒?食べないの?」



いつの間にか置いていた箸に目をやりながら



「残業で疲れちゃったみたい。残してごめんね。片付けたらもう休むね」



「いいわよお母さんやるから。もう休みなさい」



母の言葉に甘えて部屋に戻るとベッドにダイブした。



(あっくん、が結婚...。結婚、しちゃう、んだ...)



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