真実さんと正義くん(おまけ話更新中)
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さっぱりした~とロンTに短パンのラフな部屋着でリビング戻ると、ダイニングテーブルの上には夕飯が用意してあった。

「お母さんは?」

「おじさんに電話してくるって」

「ふーん」

真実は二人分のご飯とみそ汁をよそうと「食べるよー」と、正義をテーブルに呼んだ。

「おじさん待ってねーの?」

「うん。最近、帰り遅いし正義が来てるのと食べてるって連絡してるんだろうし」

真実と正義は向かい合わせに座り、いただきますと手を合わせた。
父親よりは帰宅が早いとはいえ、出来たての夕飯を食べるのは何週間ぶりだろうと真実は無意識に呟いていた。

「それにしても、今日の真実さんはまた随分とお疲れのようですね」

「ええ、聞いてくださる?正義さん。来月に小学生向けのイベントと展示室で企画展やるんですけどね、先輩からの無茶ぶりがハンパないうえに、何故か邪魔してきて通常業務も思うように仕事が進まなくて。連日の残業とストレスで体だけじゃなくて心も死にそうですわ」

「それはそれは。ではお疲れの真実さんに僕のおかずを一品差し上げましょう」

「まぁ嬉しい!…ってそれアンタ用の激辛おかずじゃん!いらんわっ!!」

差し出された激辛麻婆茄子を押し戻し、魚の煮付けを食べだした真実を見て正義は笑っている。

「正義も今忙しいんでしょ?」

「んー今やってる仕事がまだ落ち着かなくて、ここんとこずーと休日出勤」

「それでもまめにメールや電話くれる正義は偉いよ。悪いけどあたしには無理だわ」

「俺は生身の真実が良いんだけど。こんなに会えないの新入社員ん時と、転勤したばっかの時以来じゃん。限界だったから今回無理やり休みねじ込んだし」

「ま、無理しない程度に稼いであたしに貢ぎなさい」

「なんじゃそりゃ」

どちらともなくプッと吹き出したところに母親が戻ってきた。

「正ちゃんお家帰っても一人だし泊まっていくでしょ?」

「うーん。迷惑じゃなければ」

「いやねぇ~迷惑なんかじゃないわよ!大歓迎!!お布団、真実ちゃんの部屋にひいておいたからね」

「はぁ!?ちょ、客間でよくない!?」

泊りの有無を聞く必要があったのか謎な母親の行動力と発言に真実は待ったをかける。
年頃の娘…は言い過ぎかもしれないが、一応は男と女なのだ。

「なんで正ちゃんを客間に放置しないといけないのよ」

「いやいや、寝るだけなんだから放置しなさいよ!あたしこの後、持ち帰った仕事する予定なんですが!」

「なによ!老体に鞭打ってせっかくに二階まで布団運んだのに!」

「いや、だから普通あたしに聞いてからでしょ…」

「正ちゃんだって真実ちゃんと一緒の部屋が良いわよねぇ~?」

「まぁね」

仕方ない。今日はもう出来るだけ動きたくないが、この後布団を移動させるかと思っていた真実は正義の言葉に驚きぽかーんと口を開けた間抜け面を晒していた。

「はい決まりー!うふふ〜なんなら孫作ってくれてもいいからねっ!」

「お、お母さんっっ!!!」

とんでもない爆弾を投下して去っていく母親に顔を真っ赤しながら真実は今日何度目になる叫び声をあげた。
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