俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい

四六時中、あなたのお気に召すまま


寒い冬を越え、桜の木もすっかり新緑へと変わった五月初旬。

ゴールデンウィーク真っ最中の今日は、雪成さんと共にリオンへ来ている。なんと、私の母も一緒に。

もうすぐ私の誕生日ということで、十数年ぶりに両親がお祝いしてくれるというのだ。

雪成さんもぜひ連れてきて!と頼まれ、なんだか顔合わせ状態になっている。母はファーストコンタクトですでに彼を気に入ったらしく、さっきからとても上機嫌だ。

この両親はいつの間にか昔の仲の良さを取り戻していて、勝手にこの計画を進めていたのだから、聞いたときは唖然としてしまった。

確かに父に会いたいと願ってはいたが、こんな形で実現することになるとは。

午後二時にランチの営業が終わったら、一旦店を閉めてゆっくり話せるからと、昼時を過ぎてからやってきた。

リオンの入り口の前まで来て、私は大きく深呼吸をする。この中に父がいると思うと、気持ちは逸るにもかかわらず少し足がすくむ。


「はぁ、緊張する」

「大丈夫。顔見せるだけでも喜ぶよ」


おおらかな笑顔で私を安心させてくれた雪成さんが、ドアの取っ手に手をかける。そうして開かれたレトロな店内には、まだお客さんが結構いる中、忙しく動くコックコート姿の男性が目に入った。
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