手をつなごう
先生
2週間の実習期間を終えて、いよいよ彩ちゃんが先生になる。

「こんばんは」

「お帰り、お疲れさん!」

夜9時を回っての帰宅に、疲れぎみ。

それでも、ここ2週間で一番早い帰りだ。

悠もこの1ヶ月………全く顔を見ていない。

二人とも無理して倒れないといいんだけどなぁ~。

オレに出来ることは……パンの差し入れ。

なるべく、野菜・肉・魚が取れるメニューを考えて作ってる。

たまにお袋が、弁当を作ってくれて栄養を与える。

彩ちゃんは、すっかりうちの子供になった。

「明日の準備は出来た?」

「毎日頑張ってるのに………やってもやってもある~」

これじゃ、恋や友達は当分お休みだな。

まぁ~、今やらないといけないことを……頑張ればいい。

「明日……上手く出来るかな?」

不安そうな彩ちゃんの声に被せて

「出来るんじゃない?彩先生は……。」と………

こちらも元気のない声が、1ヶ月ぶりに聞こえた。

「おぉ、悠……お疲れさん!」

「あぁ~!!疲れたぁ~」

珍しく泣きの入る悠。

ホント珍しい。

「彩先生はってことは……。
他は大丈夫じゃないの??」

イスを勧めて、パンとコーヒーを二人分用意した。
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