手をつなごう
引っ越し
後4日でクリスマスイブ。

一応、動物形のチョコパンはツリー形に変え

コッペパンには、ホワイトチョコと星のクッキーを飾り……

コロネにはホイップクリームとイチゴを入れ、カラーチョコでコーティングしてみた。

女の子の意見を参考に作ってみたら、子供はもちろん

写真に撮ると言って、女子高生も買ってくれる。

「彩ちゃんのお陰で、今年は売り上げアップだから……
バイト代はずまないとね。」

『いえいえ、ここにバイトさせてもらって……
毎日おやつのパンを食べれて、試作品まで口に出来て。
言うことないです。』

オレのパンをこんなに美味しいと言ってくれる貴重な存在。

後少しでお別れだと思うと…………淋しい。

「そう言えば、三軒先の空き家。
ウチの親戚で、おばあさんが亡くなってからは息子夫婦が他所で暮らして
空き家になってるんだけど……。
一軒家は嫌??
あそこなら、広くて便利だよ。」

「えっ?一軒まるごと!!」

「女の子には向かないかな?」って………言わなかったんだけど……。
友達連れて来ても良いし、ピアノを弾いても大丈夫だから。
これから幼稚園の先生になるには、良いかな?って思うようになって。
嫌なら断って良いから、1回見てみる?」

「わぁ!それはいいですね!!ここにも近くて安心するし。
ただ、家賃が………。
一軒家だと高くなりますよね?
ウチ…………妹と弟が下に3人いて………高校生と中学生だから……
これからお金が沢山いるんです。
私が働いて、少しでも入れてあげたいのに…………
家賃が高いと………生活だけでいっぱいになりそうだから…………」

彩ちゃんがこんなにしっかりしているのって、四人姉妹の長女だからなんだなぁ。

「どうせ住んでなかったし
これからも住まないから三万円でいいって言ってたよ。
空き家のままほっとくと家が傷むから、住んでくれるなら助かるみたいだよ。」

「三万円で一軒家?スゴい!
ピアノは近所迷惑にならないように、電子ピアノを買ったんです。
ただ、本が沢山あって………
お仕事したら、製作する道具とかもっと増えると思うから……
広いと助かります。」

「じゃ、お店が終わったら見に行く?
遅くなると心配だから、帰りは車で送って行くから。」

「あっ、帰りは大丈夫です。そこまで迷惑をかけたら………。
でも、お家を見に行くのはお願いします。早く決めたいって思ってたから。」

「だったら、お店が終わったら行こう。
そのかわり、送るからね!それが条件。」

「………ありがとうございます。
本当に、洋介さんとおばさんには感謝してます。
あっ、後………ここを紹介してくれたそうちゃんにも感謝しないとね!」

「ホントに!
あれから一度もカレーパン買ってないよな?
あれ、彩ちゃんにチビなりに格好つけたんだと思うよ。
『僕、辛いの食べれる!』って……。」

まぁ~、恋をするのとは違うけど…

彩ちゃんを見てると、ちょっといい男に見られたくなるよなぁ。
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