*続*恩返しは溺甘同居で!?~長期休暇にご用心!
7. 蔵書点検と帰省



 修平さんとの仲直りを無事果たしてから、三週間近く経った。

 あの喧嘩を機に、私は言いたいことを遠慮せずに口にすることが大分出来るようになってきて、コミュニケーションが円滑なおかげか、私たち三人(正確には二人と一匹だけど)の生活は順調そのものだ。

 まさに雨降って地固まる、ってこのことだ。

 修平さんはGW中に宣言していた通りに仕事が忙しくなって、ここのところずっと帰宅が遅い。

 修平さんが休みの土日は私は出勤なので、すれ違いの生活に少しだけ寂しさを感じてしまう。
 けれど朝ご飯は一緒に食べているし、短い時間の中でもコミュニケーションがが取れているせかい、前みたいな変な不安を抱くことはない。

 そんな忙しい修平さんに対して、私の方はというと、GWの繁忙期が過ぎて少し余裕のある生活を取り戻していて、アンジュの散歩や家事をまた普通に出来るようになっていた。

 この三週間で変わったことと言えば、私が修平さんのお弁当を作ることになったことだ。

 前から自分のお弁当は時々作っていたけれど、ある時修平さんが「忙しくてお昼ご飯をちゃんと取ることが出来ない」とこぼしていたのを聞いて、「それなら」と自分の弁当と一緒に彼の分も作って渡してみた。

 「迷惑かも」と思っていた私の予想を大きく裏切って、修平さんは私が作ったお弁当をとても喜んでくれたので、それからは自分が休みの日も彼のお弁当を用意している。
 彼の方も、仕事の都合でお弁当が要らない日をあらかじめ教えてくれるようになった。

 これまで誰かにお弁当を作ったことなんてなかったから、最初はなかなか彩りよく美味しく作ることが難しくて(自分だけのときは超テキトーだったのだ。)、図書館でお弁当の本を何冊か借りようとしていたのを千紗子さんに見つかって、お弁当のこつなんかをレクチャーしてくれた。
< 140 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop