クールな御曹司の甘すぎる独占愛
潮風が運んできた願い


「奈々さん、占いしるこ、完売です」


厨房から出た奈々に明美が報告する。満面の笑みを浮かべた明美の顔には、疲れはまったく見えない。

晶がスイスへ渡ってから間もなく二年と二ヶ月が経ち、季節は秋の入口。光風堂は飛躍的に売上を伸ばし、連日目の回る忙しさの中にある。

ミヤビのSNSへの投稿により史上稀に見る売上低迷期は三ヶ月にも及んだが、その間に奈々は新商品の開発に専念した。それにより誕生したのが、占いしるこだった。

それは、お湯をかけると最中の皮が破れ、中からあんと一緒に星や花、ハートといった形のカラフルなゼリーがランダムにひとつだけ出てくるもの。その形によりその日の運勢を占えるようになっている。

例えば、星だったら運勢は大吉。桜の花は心身ともに健康。ハートだったら恋愛運に恵まれるといった具合だ。

店で試食として出したり、奈々や明美の友人への宣伝でじわじわと売れ始め、一ヶ月経ったころには女性を中心とした人気商品となった。テレビや雑誌などでも取り上げられ、そこから起死回生の爆発的ヒット。
一日に作れる数は二百個と限られているため、店の前には開店前から行列ができ、オープンするや否や完売するようになった。

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