国王陛下はウブな新妻を甘やかしたい
第五章 国王陛下の温室
昨夜の緑竜の一件を終え、まだ興奮冷めやらぬ身体で床に就いたのはいいが、結局ミリアンはまどろんだだけで熟睡はできなかった。柔らかな朝の日差しが窓越しに降り注ぎ、ゆっくりと重い瞼を開く。

(そうだ……ここは、ラタニア城なんだったわ)

ローデン教会にある住み慣れた自分の部屋ではない。ミリアンはここに来た事の経緯を思い出しながらのろのろと身体を起こした。公務執行妨害と国王陛下に対して不敬罪はまだ晴れてはいない。レイに所有物として刻印を押されてしまったミリアンは自分の行く末を考えると一抹の不安がよぎった。

するとその時。
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