副社長は花嫁教育にご執心

支配人と弟



支配人と私、そして弟と遊太との三人での食事会が実現したのは、翌週の日曜日のことだった。

遊太は基本土日休みなので問題なかったし、支配人も自由に休みを決められる。すでに組まれていたシフトで私だけが出勤だったけど、たまたま夕方までの勤務だったため、予定を合わせることができた。

場所は私たちの自宅からも職場からも近い、支配人がお気に入りだというフレンチレストラン。

予約まですべて支配人が段取りしてくれ、個室で豪華なコース料理に舌鼓を打った。

この三人で何を話せばいいのやら……と最初は不安だったけれど、そこはさすが接客のプロである支配人。さりげない話題で遊太の緊張を解き、話題も笑顔もどんどん引き出していった。

なかでも特に彼らがが意気投合して語り合っていたのは、他でもない私のことである。

「ズボラはズボラなんですけど、別に汚部屋に住んでるとかではなくて、ただお洒落だったり料理だったりを知らないだけなんですよ。あっ、あと恋愛も」

「なるほど……。じゃあ、まるっきり男にモテないわけでもないんですね」

「そうですそうです! 飾り気がないせいか逆に男友達は多くて、そこから告白されたりとかもあったみたいなんですけど、本人が恋愛モードにならないんで、結局友達のままで終わっちゃうというか」


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