【完】キミさえいれば、なにもいらない。
璃子は、私と陸斗先輩の間に何があったのか知らない。


私が昔、彼を好きだったことも……。


誰も、何も知らないんだ。


だから、こんな話をされても、私は笑って何でもないふりをするしかできない。


自分の中にしまいこんだ、苦しい初恋の記憶。


初めて誰かを好きになって、失恋して、ボロボロに傷ついて。


こんな思いをするくらいなら、もう恋なんてしなくていいと思った。


だから私はそれ以来ずっと、恋愛することをどこかであきらめてしまっている。


恐れているんだ。再び自分が傷つくことを。


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*

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