エテレイン
進路
朝起きて、学校に行く準備をしながら彼らのことを考える。



森の透き通る歌声と優しくて芯のあるギター。
全体を支える溝江が奏でるベース。
色を付ける八木のドラム。



そういえば、エテレインってどこかで聞いたことがある。



ブレザーに入れたスマホを取り出して調べてみる。



『ギリシャ語で願う・・・。』



意外にもロマンティックなバンド名なんだ。
そういえば、放課後は視聴覚室で練習してるって言ってたな。



ふとそんなことを思い出して、私は机の鍵のかかった引き出しに手を伸ばした。



カチャリと音を立てて開く引き出し。
ここを開けたのは久しぶりだ。



中にはたくさん五線譜が入っている。
何も書いてないものや、たくさん音符の上に黒のマーカーでグシャグシャにされたもの。



トートバッグに白紙の五線譜と小さいキーボードを入れてまた、引き出しに鍵を掛けた。



「いちかー!遅刻するよ!」
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