俺にもっと溺れろよ。
いつかわたしも





「......はあっ〜」


わたしのため息が、放課後の教室に響く。



「結局、さ、朔先輩に理由聞けずに終わってしまった〜」




わたしが思ってたとおり、午後の授業はそのことで頭がいっぱいで、何も入ってこなかった。



おまけに、先生にも「南!何、ボッーとしてんだ」って怒られたし。



先輩のせいにはしたくないけど......。


いや、やっぱり、先輩のせいです!



ほんとに、なんで教えてくれなかったんだろう......。


悩めば悩むほど、どんどんダメな方に考えが向いてしまう。



「ちょっと、桃花。結局、理由聞けなかったの?



し、か、も!早瀬先輩のこと朔先輩って呼んでるし! 朝までは、いつも通りだったのに、急に昼過ぎたら呼び方変わってるからびっくりしたわ」




わたしは、風ちゃんには今朝の出来事を、誰よりも早く伝えていた。



絶対、理由聞いてきなさいよって言われてたのに......。


......結局、はぐらかされて聞けずじまい。




「だって先輩が、下の名前で呼んでって言ってきたんだよ?


そしたら、教えてあげるって言われて......。 で、でも結局分からないままなの......」



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