俺にもっと溺れろよ。
甘く溺れてる













*



「お、お邪魔します......」



わたしは今、朔先輩のお家に来ている。


突然のことすぎて、頭が追いついていない。

ほんとに緊張する。


今日も放課後は、朔先輩と一緒に帰る約束をしていた。


そのまま素直に家に帰る予定だったのに......なんでわたしは今朔先輩の家にいるの......?


なぜこうなったかというと──。










学校も終わり、わたしは朔先輩と一緒に帰っているところ。



「朔先輩、今日の体育でわたし、走り1番遅かったんですよ!」



「なに、それ自慢なの?」



「自慢ですよ!?」



もうここまで来たら自慢ですよ。

昔から、走ることが苦手なんですよ。



「別に足遅くてもいいじゃん。



そんなとこも可愛いし......」



「か、か、可愛いくないですよ!


......からかわないでください」



急な爆弾発言......。

足が遅くて可愛いはずがない。

冗談だって分かってても......朔先輩は、なんでもすぐ可愛いって言うから困ってしまう。



「え〜、本気で言ってんのにな......」






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