俺にもっと溺れろよ。
言えるわけないだろ 朔side.






「......あっぶね。



可愛すぎてそろそろ限界かも......」







いつからだっけ。





俺がこんなこと思うようになったのは──。


















*








「危ねっ」





俺が歩いていたら、


急に、目の前で階段を踏み外した女がいて、咄嗟に足が動く。



これ、俺がいなかったら大怪我してたぞ。






「大丈夫か?」




「は、はい。



大丈夫です......」




ネクタイの色でわかる。


1年か......。



入学初日から、階段踏み外すとか、どんなドジっ子だよ。



俺がたまたま通りかかったら良かったけど......。





「気をつけろよ」





俺がそう言うと、女が顔をあげる。




すると、女は俺の顔を見つめながら固まる。




なんだよ。




「あ、あの!




ありがとうございます!」






そう言うと、次は顔を下げる。




さっきから、固まったり、慌てて下向いたり忙しいやつだな。




「......ん」





なんて考えてると──。





< 75 / 220 >

この作品をシェア

pagetop