大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
「アヤ、そなた、奴に何を言ったのだ?」

「………ありのままを。
私が大王にいかに大切にされているかを。
ハヤは分かってくれました。」

「………考えておく。」

「はい。」

しばらくすると、外が騒がしくなり、兄が大王を呼びに来た。

「出立の支度が整いました。」

「ああ。
アヤ、行こう。」

「はい。
………兄さん、今日はいろいろありがとう。」

私が言うと、兄さんは優しく微笑んでくれた。


加津彦は、縛られたまま、うつ伏せで馬に乗せられていた。

私は、大王に馬に乗せてもらい、香久山へと戻った。
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