大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
突然の話に驚いた私が、なんて言っていいか分からず、黙っていると、ハヤは、再び私を抱き寄せた。

「アヤは、俺を選んでくれるよな?
俺と夫婦(めおと)になるよな?」

ハヤの絞り出すような声が、私の胸を震わせる。

「当たり前でしょ?
私は、ハヤと夫婦になるって信じて今まで
生きて来たんだから。」

そう私が答えると、ハヤは、安心したように腕を緩めた。

そして、私の顔を見て、ほっとしたように、

「ありがとう。
俺、アヤのいい夫になるよ。
全身全霊で、アヤを守るから。」

と誓ってくれた。

私はハヤの笑顔が好き。

子供の頃から、いつも笑顔で私の世話を焼いてくれたハヤ。

年はひとつしか違わないのに、私にとって、ハヤはいつもいいお兄さんだった。

そのハヤが、いずれ私の夫になる。

この時、私はそう信じて疑わなかった。
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