大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
そこで私は微笑んで言った。

「じゃあ、許して差し上げます。」

すると、大王は上機嫌で言った。

「くくっ
じゃあ、毎日寝たふりをしないと。」

「え?」

「だって、気づかないふりをしたら、
アヤから口づけてくれるんだろ?」

そこで初めて言葉の意味を理解した私は、顔から火が出るように真っ赤になるのを感じた。

「やっぱり、大王は意地悪です!」

私はまたそっぽを向くが、大王は私の背でずっとクスクス笑っている。

あまりにも大王が笑うので、怒っているはずの私もつられて笑ってしまった。

「もう、大王はずるいです。」

私が言うと、

「俺はずるいが、アヤはかわいい。」

と大王は私に口づける。

「………もうっ。」

私は、怒りながら、また笑ってしまった。
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