難病が教えてくれたこと
第4話
私が高校生になって2回目の行事。
体育祭が終わり、秋といえば…
「待ちに待った文化祭だよ!」
…そう、文化祭。
「如月さん。これ、向こう持ってって。」
…出たよこいつ。
井上世莉香【イノウエセリカ】。
同じクラスになったはいいけど、私の苦手なやつだ。
そしてこいつは蒼空のことが好きだ。
だから、蒼空と仲のいい私と海澪を毛嫌いしてる。
そのくせ話しかけてくるタチの悪い馬鹿女だ。
「向こうってどこ?」
むこうっていっても沢山あって分からないんだけど。
話しかけられたら話返すけど私からは一切話しかけない。
「体育館よ。そんなのも分からないの?」
「そうならそうと言って欲しいよね。」
ニコニコしながら私は嫌味を吐く。
こうでもしてないと私の怒りが爆発してしまうから。
「頼んだわよ。」
「…へいへい」
なんだあいつ。
めちゃくちゃ私のこと睨むじゃん。
どんだけ蒼空と仲のいい私を嫌うんだよ。
「蒼空くーん!」
…きしょーい。
身長は165くらいはあって縦にも横にもでかい女だ。
黒縁メガネかけてて、髪は真面目にひとつにまとめている。
いつも小説か何かを書いているけど、私、あの人の小説読みづらいと思う。
「李那ー」
「何?」
「手伝うよ。」
「ありがとう。」
「あいつが持ってけばいいじゃんね?」
「同感。蒼空と話したいだけじゃないの?」
海澪も井上世莉香を毛嫌いしてる。
私と同様に用事がある時しか話さない。
「蒼空の事どんだけ好きなんだよあいつ。」
「知らねーよ。」
私は海澪と蒼空に対してだけこの口調だ。
流石元ヤンって感じなんだけどね。
「蒼空くん、文化祭一緒に回らない?」
「わり、俺、海澪と李那と回るから。」
…蒼空グッジョブ!
ナイスな振り方だよ!
君そんなに最高だったんだね!
「…ぷぷっ…」
笑いが堪えきれず思わず声に出して海澪と笑ってしまった。
「…蒼空くん、どっちかのこと好きなの?」
「……友達だよ。」
「私は?」
「…なんとも思ってねぇ」
やばい、あの2人のやり取り吹き出しそう。
とりあえずさっさとこれ持ってこう。
てかこれなんで持ってきたんだろう。
これ持ってきたの世莉香だよね?
世莉香のことは私と海澪の中で腹とよんでいる。
だって顔も腹も足もどーん!って感じなんだもん。
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