難病が教えてくれたこと
第7話
「美那?!
目を開けて、美那!」
嘘でしょ?!
なんで美那が…
こんな目に合わなきゃいけないの…
目の前には美那。
勿論、いつもの減らず口はきけない。
だって今の美那は酸素マスク付けられて瀕死の状態だから。
「誰かO型の人いませんか?!
輸血の血が足りないんです!」
…O型…
「私のを!使って!
美那を、助けて!」
大事な妹。
死なせるもんか。
美那はジョギングの途中で事故に巻き込まれた。
トラックに突っ込まれたんだ。
トラックの人は飲酒運転。
現行犯逮捕された。
…美那は…
意識がなく、顔も白い。
血圧も安定しなくて危ない状態だ。
「…御家族ですか?!」
「姉です!」
「わかりました!今は一刻の猶予もない!」
…お医者さんがこんだけ切羽詰まってるんだ。
きっと美那はそれほど酷い状態なんだろう。
「美那お願い、目を開けて…」
私は座ったまま、美那の手を握る。
私の血を美那に与える。
お願いだから、戻ってきて…美那。
【如月李那side END】

【中矢裕side】
…美那ちゃん…
あのベランダで会話してた時の連絡はこの事だった。
李那は病院にて、輸血をしている。
O型の血は誰にでも与えることが出来るから。
「…美那…」
青い顔してる李那。
多分血を分け与えすぎてるんだ。
だけど美那ちゃんはまだ目を覚まさない。
「李那、大丈夫か?
無理そうだったら俺の血もあるから…」
「…大丈夫。
裕くんの血は気持ちだけ…もらっとく。」
真っ青な顔してるくせに強情なんだから…
「…李那…」
「…」
もう話すのもきついんだろう。
李那は美那ちゃんに血を与えながら壁にもたれて眠ってしまった。
「…ん…」
「美那ちゃん?!」
美那ちゃんが目を覚ました。
俺は急いでナースコールした。
すぐに看護師と医者が飛び込んでくる。
「如月さん!大丈夫ですか?!」
李那と繋がっていた輸血のチューブが外され、美那ちゃんは医者に色々検査されていた。
一通り終わったのか、美那ちゃんのそばから医者が離れていく。
「お姉さん、大丈夫ですかね?」
「疲れただけだと思うんで、大丈夫です。」
「…そうですか…」
看護師と医者は俺らに一礼すると病室から出ていった。
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