夜。〜キャバ嬢の恋〜

事件

ある日の営業終了間際、

私はひどくよったお客さんについていた。


指名の席だったから、あまり抜けられない。


『ゆぅーなちゃんっ』


お酒が入っていないときのそのお客さんは
とても紳士的でたくさんオーダーしてくれる。


いわいる太客。



その日は、めずらしく遅い時間なこともあって
よってた。


『俺はね、ゆうなちゃんとどうにかなりたいとか、そんなことは思ってないんだけどねぇ。』


そんなことをいいながら、その客は執拗に私の太ももをさする。


『えっと…あの…』


普段はピシリとやる私だけど、
太客だし、常連。

つよく言えないでいた。


そのうちに、行為はエスカレートしていく。


太ももにあった手は、すばやく胸に移動し、
身動きがとれなくなった私に



キスした。



やめてください、というささやかな制止は、

あっけなく塞がれた。


さらに彼はドレスをめくろうとする。


私は、今まで紳士的だったその人が

そんなことする、怖さと裏切られたような悲しさで私は声をだせなかった。



ただただ体を震わせるだけ。


その時

『お客様、当店はそのようなお店ではないのでっ!』



声がした。


中村さんの声が。




中村さんが止めに来てくれたのだ。




小声で謝るお客さんを残し、私はロッカーに走った。











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