菓子先輩のおいしいレシピ
エピローグ
どうしてこんなことになったのだろう。

 薄暗い非常階段。手の中には、うんともすんとも言わない携帯電話。

 地元の不良仲間は、一人だけ進学校に行ったあたしに遠慮して連絡をよこさない。好きで桃園こんな高校ところに入学したわけじゃないのに。

 今のところあたしは一人だ。学校でも、地元でも。

 やっぱり、いきなり気合いを入れた恰好で入学式に出たのがまずかったのか。明るい茶髪を巻いて、メイクも盛りまくった。

 こんな品行方正なお嬢様しかいないような女子高じゃ、あたしみたいなタイプは珍しいのか、クラスでもみんなびびって近付いてこない。

 ちらちらと様子を伺いながら遠巻きにされているのは、檻の中の猛獣になったみたいで居心地が悪い。
 あたしが立ち上がったり話しかけようとすると、分かりやすくびくっと反応されるのがいたたまれなくて、授業をボイコットして出てきた。
 休み時間に教室を出てくるとき、あからさまにほっとした雰囲気になったのを背中で感じた。

 あたしだって、一人が好きなわけじゃない。できれば、気の合う仲間たちに囲まれて楽しく毎日をすごしたい。

「あ~あ……」

 もう、学校やめちゃおうかな。もともと勉強が好きなわけじゃなくて、親と教師に強制されて入った学校だし。

 通信制の学校でも通いながら、アルバイトをして。親には怒られるかもしれないけれど、そっちのほうがずっと楽かもしれない。
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