きっと夢で終わらない
あの日の出来事
テレビをつけると、今年の梅雨入りは少し遅くなるというニュースが流れた。
平年だと来週中には洗濯物の生乾きの匂いが充満する日々が始まるけれど、今月中旬までは晴空が続くらしい。

私は部屋の電気もつけずに、行儀悪くも立ったままロールパンを食べながら、天気予報士のお姉さんの説明を聞いていた。
時刻が変わって、番組も変わる。
電源を落として、洗面所に行く。

リビングを出るときに見えた日めくりカレンダーは、ちゃんと今日の日付を示していた。

月が変わって、 3日が経った。
そして、死に損なって、6日が経とうとしていた。

この一週間、幸か不幸か、一度も弘海先輩とすれ違うことも、見かけることもなかった。
他にスーツを着た教育実習生を何名か見かけたから、きいちゃんの言う通り弘海先輩がいることは間違いないけれど、同じ棟にいても、教室の場所も階も異なるので会うことはなかった。

花純先生に呼び出されるかと、一挙手一投足に敏感になっていたが、結局何事もなく週末を迎えた。
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