きっと夢で終わらない
ちょっとした賭け
どこの階も、一番騒がしくなるのは、お昼休み。
特にC棟の二階は、国語ゼミ側から伸びる外の通路が体育館に続いているので、人通りも多い。

そんな中私は川にせり出す岩のごとくしばらく立ち尽くして、下級生からの注目を浴びていた。
今、私は今年一番の窮地に立たされていた。
ラスボスに丸腰で足し向かって行くのと、同じような気分だ。

今日、月曜日。
いつも通り登校した、その道でも弘海先輩を見ることはなかった。
朝きいちゃんと水やりしているときにも、弘海先輩は姿を現さなかった。

あの時の言葉は本当だ。
もう私に構うことはないんだ。
きっともう二度と弘海先輩に会うことはないだろう。
そう思っていたのに。


考えても仕方がない。この状況が変わるわけでもない。
意を決して、国語ゼミのドアを二回ノックし、ドアノブを回して扉を開けた。
ふわりと風が吹いて、スカートの裾が翻った。
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