元々着ていたスーツから、ミネアさんが選んでくれた白い花婿衣装に着替える。
試着室には全身鏡が付いているけど、自分に自信のない僕はハッキリと見つめる事が出来ないでいた。

着方だけ間違えないように時折チラチラと確認して、とりあえず着用すると「ふうっ」と小さく溜め息をはいて、覚悟を決め、試着室から出た。

真っ先に目に映るのは、ミネアさんの笑顔。


「!……まぁ!
マオ様、いいじゃないですの!すごく似合ってますわ!」

弾んだ声が、嬉しそうに僕を迎えてくれる。
彼女は優しいから、きっとそう言ってくれると思っていた。

そんなミネアさんに「ありがとうございます」と、お礼を言いながらも”そんな訳ない”って思いが、僕の中で渦巻く。
ここに居る他の人は、そんな良い風には思っていないだろう。
「いいんじゃないですか」と、無難な言葉を言われるのが当たり前。

そんな、心にもないお世辞を言わせてしまうなんて……。嫌だった。

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