夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

(4)


「……はぁ〜」

男性用お手洗いの洗面台の前で、深くゆっくり溜め息を吐く。

人に囲まれたり、騒がれたりするだけで動揺してしまって上手く対処出来ない自分。
結婚式となれば、今日とは比べものにならないくらい大勢の関係者達が集まるだろう。
その時、僕は一体どうなってしまうのだろうか……?

ーー悪い考えしか浮かばない。
でも、ミネアさんの優しさに甘えて、フォローしてもらってばかりではいけない。
来年の春までに、色々と克服しなければいけないと思った。


「……せめて、この眼鏡くらい外せるようにならなきゃね」

初めは、結婚式は女性が主役なのだと。ミネアさんさえ綺麗で美しければ、いいと思っていた。

けれど次第に、分かった。
隣に立つ僕が不恰好ならば、恥をかくのはミネアさん。せめて、彼女に恥ずかしい思いだけはさせたくない。
僕のせいで、笑顔を曇らせるような事はしたくなかった。

そんな事を想いながら、そっと伊達眼鏡を外して洗面台の鏡に映る自分を見つめる。
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