春雷

「もっと聞きたいけど塾だね。どうする?一人で電車で行こうか?」

「いえ、由乃さん、それはいけません。僕はとりあえず柴田先生の安否が確認できましたし、
まだまだお伝えしたいこともまだまだありますが、まだまだ話すとまだまだ時間がかかりますので退散しま」

「わかりましたわかりました!!じゃあ塾までみんなで行こう!塾ツアーねっ!琴葉さん、そうしよう!私も、その話の続き、聞いてもいいですか?」

「もちろんです。本当に僕と柴田先生は悲しいくらい何もない関係だと信じていただけるなら」

「はーい。了解です!じゃあ、行こ!寒いよーっ」

二人の理解不能なチームワークにほだされ、
私は何も言えず車を出発させる準備をするしかなかった‥。


由乃ちゃんが助手席に滑り込み、
高村先生は後部座席へ長い足を折り曲げて入る。

「ほんと高村先生って、変わってるよねー」


‥あなたも、ね‥。
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