春雷
2016年 冬 修羅
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高村先生が、フランスに行ってしまうことはあっと言う間に大学に広がっていた。

ファンの多い彼だから、悲しむ人はたくさんいて、講義中に泣き出す学生もいたそうだ。

それを横目に、高村先生は、着々と大学を離れる準備をしていた。

一方で
こちらにも、動き出している人物が一人いた。

由乃ちゃんだ。


高校卒業後の進路をフランスの大学に決めた。

私より、由乃ちゃんのほうが決心が早かった。

私はまだ迷っているというのに。

フランスに着いて行って、どうしろというのだろう?
何の身分で?
家族でもない不安定な関係で
仕事も家族も捨てていくの?


そう思うと眠れない夜が続いた。


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