極上恋慕~エリート専務はケダモノでした
忘れたい夜の、愛し方

 香ばしい衣を纏った竜田揚げのジューシーな肉汁と、みぞれポン酢ソースが空腹に染み渡る。


「うぅ……。美味しいよ、ミミちゃん」
「そう? それならよかったわ」

 本当なら、鶏肉じゃなくてA5ランクの和牛ステーキだったはず。
 ついでに、中ジョッキの生ビールではなく、高級な赤ワインを飲んでいたかもしれないし、デザートもついてきただろう。

(私にはこっちがお似合いよ、どうせ!)

 豪快にかぶりつき、口の周りに小口ねぎやソースがくっつこうと気にせずに、がっついて食べる。


「泣くほど美味しい……ってわけじゃないでしょ? なにがあったのよ」
「ミミちゃーん! 聞いてよぉ」

 万佑は、行きつけの居酒屋〝ミーちゃん〟のカウンターで、店長のミミに感情をぶちまけた。
 クリスマスイブの夜、好きでここに来ているわけではないのだ。

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