Smile  Again  〜本当の気持ち〜
私が家に戻ると、お母さんが私に言った。


「今日、塚原さんから、電話もらったのよ。」


「えっ?」


学校で、聡志に会ったことは、お母さんには伝えたけど、住所も連絡先も以前とは変わっているから、どうにもならない。


聡志くんに連絡先を聞いてきてよ、と言われて、何日か前に勇気を出して、クラスまで会いに行ったんだけど


「今、取り込んでるから。」


の一言で終わり。取り付く島もないとは、まさにあのことだった。でも、向こうから連絡してくれたということは、聡志が伝えてくれたって言うことなのかな?


「塚原さん、向こうで身体壊しちゃったんだって。」


「そうなの?」


あんなハツラツとした感じのお母さんが・・・。


「年末年始もずっと病院で、年賀状どころの騒ぎじゃなかったみたい。」


だから、年賀状が来なかったんだ・・・。


「結局、向こうの水が合わなかったんだって。それで、ご主人が、とうとう会社辞めて、急遽こっちに戻って来たんだそうよ。」


いろいろあったんだね。


「3月末には、こっちに来てたみたいだけど、また体調崩して、入院しちゃったみたいで、昨日やっと退院して、今日連絡くれたみたい。」


そっか、だから聡志は今日やっと入部したんだね。聡志も大変だったんだな、きっと・・・。


お母さんはさっそく、明日にでも訪ねてみるつもりだと言った。


状況がちょっとずつ、わかって来たし、おばさんの体調が心配だけど、退院したのなら、まずはいい方向に向かっているんだろう。


でも、出来たら、そういうことを聡志の口から、直接聞きたかった。帰って来てたんなら、連絡が欲しかった。寂しいな・・・。
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