限りない愛~甘い彼に心揺れて~
誠実な求愛
この日は朝から強い風が吹いていた。木枯らし1号が吹くでしょうとお天気キャスターが言っていた。

副社長との約束は午後二時。午前中は社長との用事があると聞いていた。どんな用事かは知らないが、仕事なのかもしれない。

忙しい中で私との時間を作ってくれたのは嬉しいが、体は休めているのか心配になる。

母はなぜか私と一緒になって、リビングの時計をチラチラと見てはそわそわしている。


「大ちゃん、そろそろかしら?」

「なんでお母さんが待っているのよ」

「いいじゃないのよ。大ちゃんの顔が見たいのよ。あ! 来た!」


インターホンが鳴り、我先にと母が飛び出した。

ちょっと! まずはインターホンで応答しないの?

動きの早い母に呆れたが、私も玄関に行く。すでに玄関に入っていた副社長は母に「あがって」と言われて、困った顔を見せていた。

母は困っているのが分からなく、スリッパを出している。私はバッグとコートを持って、母の斜め後ろに立った。


「こんにちは」

「真帆、こんにちは。すぐ出れる? おばさん、これ良かったら食べてください」
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