片恋スクランブル
コンタクト


なんとか落ち着いて会社を出たのは、19:00を過ぎてからだった。

……合コン、始まってるね。

今頃八木さんは、白川さんと……。

もともと叶わない望みだった。

花田さんに言った通り、見てるだけで満足出来た。

「キャッ!」

ぼんやり歩いていたせいで、急に後ろからぶつかられて、前のめりに膝をついて倒れた私は、かけていた眼鏡を落としてしまった。

全く見えない訳じゃないけど、視界がボヤケてしまう近視で。

……ないと困る。

あわてて立ち上がった私のすぐ側で、パシッと何かを踏みつけた音がした。

聞き覚えのある音。

……眼鏡、踏まれた?

見なくても分かる。 自分でもたまにやるから。

音のした方を見た途端、誰かが「うわっ?」と声を上げた。

その人物は、自分の足をよけて、その下にある何かを拾い上げている。

「眼鏡?」

間違いない、私のだ……。

私はその人に近付き、怖ず怖ずと声をかけた。
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