御曹司は眠り姫に愛を囁く
噂話
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定休日の木曜日。

副社長は自ら、私の部屋にスタンドを配達してくれた。
男性の訪問は配送員や身内の出入りだけが許されるマンション。
彼氏のお泊りなどはもっての外。
稜さんはなんでそんな厄介なマンションに住んでるんだと怒っていた。


「副社長、狭いですが・・・どうぞ」

「お邪魔致します」
玄関を上がって、少し奥に行けば、ワンルームの狭い部屋。



我が社の配送員のグレーのつなぎ服で訪問して来た副社長。

長身で細身のある出で立ち、スーツ姿も格好しいが、つなぎ服も似合っていた。

台車で玄関まで運び込んだ段ボールに入ったスタンドをそのまま持ち上げて、部屋の中へと運び込んだ。

「どこに置くの?貴崎さん」

「あ・・・ベットの脇にお願いします」

「ベットの脇だね・・・」

副社長は置く場所を確かめて、段ボールからスタンドを取り出した。

スタンドは組み立て式で、彼が全部組み立ててくれた。

「ありがとうございました」

私は副社長にコーヒーと今朝作ったオレンジピールを練り込んだパウンドケーキを出した。

「これも手作り?君、お菓子も作れるんだね・・・」

デパ地下とかに足を運び、高級洋菓子を買えばよかったのだけど・・・
既にもう金欠だった。





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