神様には成れない。
02:デートには成らない。


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しまった。と思ったのは大学の講義が終わってからだった。

今日は互いに一限からだったのだが、終わる時間の話等はしていなく「大学が終わったら迎えにいく」と言う言葉の時間が定まっていないのである。

そもそも淵くんの大学と私の大学とでは講義時間の設定も違うかもしれない。

流石に細かい講義時間の話などをした事はなく推測も出来ないし、もしかすると三限で終わる私より遅い可能性も、一限で終わってる可能性だってあるのだ。

加えてこの二つの大学は他と比べて近いにしろ、時間にして30分くらいはかかる距離にある。


「まいったな……」


別に待つのは苦ではないし、私の大学の校門で待ち合わせしているのは間違いないので、そこに居ればいいだけの話なのだが、時間設定のない待ち合わせは少々落ち着かないので正直に言えば困る。

スマホの画面を探せど連絡先が見つからないのは単に交換していないからなのだが、今回ばかりはそれを後悔してしまう。

今まで必要はなく、万が一何かあってもバイトの事なので店に連絡してしまえばよかっただけに、今回は完全なる私用なのでどうしようもない。

あの様子では淵くんは他のバイト仲間と連絡先を交換してるかどうかも怪しい。

かく言う私も彼と連絡先をしていないその一人で、今の今まで言い出せていないのだ。かと言って私用で必要だからと言って、私が連絡先を知っている他のバイト仲間に聞いて回るのも何となく気恥ずかしい。

そうこう考えていても仕方はないので、私は鞄を肩に掛けて校門へと足を向けたのだ。

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