極上CEOの真剣求愛~社長の言いなりにはなりません~
喋らなければカッコいいCEO
日本有数のオフィス街、東京・丸の内。
隙間なく建ち並ぶ超高層ビルの中、一際目立つスタイリッシュな外観の、三十階建てインテリジェントビル。
その二十五階に、私が勤めるオフィスがある。


先週梅雨明けして、朝からギラギラの太陽光が照りつける、七月下旬。
一週間の後半に差しかかる木曜日、午前八時ジャスト。
出勤してすぐボスを訪室した私は、大きなガラス窓から見渡せる東京の青空に、視線を向けていた。


「本日は、午前中、グループトップ会議が行われます。懇親会を兼ねたランチ後、帰社予定。午後二時半より、社内で経営戦略会議。五時から、システム開発部長との定例ミーティングを予定しております」


手元に手帳を開いてはいるものの、確認せずとも諳んじられる、我がボスの本日のスケジュール。
耳に届く物音や気配に気を取られ、振り返りたくなる衝動を必死に抑えながら、私は窓ガラスにぼんやり映るボスをチラ見していた。


私が来た時に羽織っていたシャツを豪快に脱ぎ捨て、しっかりと糊の効いた新しいシャツに袖を通す。
長くしなやかな指でボタンを留め、ベルトのバックルに両手を遣る。


「っ」


それを見て、私は完全に彼に背を向け、ついでに顔も伏せた。
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