命の記憶
文化祭
 夏休みのど真ん中に文化祭とはなんという学校だろうか。


 桃子の学校を前にして、一人でふと考えた。


 スマホで今の時間を確認する。


 桃子との集合時間まであと3分。


 スマホの次は自分の体全体に目をやる。


 白いカットソーにネイビーのストライプ柄マキシスカート。


 サンダルと小さなバッグはクリーム色で統一させた。


「別に、変じゃ、ないよね……?」


「変じゃないよー」


 桃子の声だ。


 どうやら私がボソッと言った言葉に反応してくれたみたいだ。


 独り言を聞かれていたなんて少し恥ずかしい。


「さあ、いこ!」


 桃子は私の独り言にはそれ以上突っ込まず、早足で校門をくぐった。
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