片想い、余命2日



10年。



これは私、三沢由依の片想い歴。



相手は小学生のときから同じ学校の、片倉壱。



壱はとにかくモテて、チャラい。


彼女を切らしたこともない。



「今日も女の子に囲まれてるのね、奴は」



美術室に移動していたら、隣を歩いていた深優が目の前にいる壱を睨んでいた。



「しょうがないよ。壱はモテるんだから」


「……いいの?」



深優は私が壱に片想いしてることを知ってる。



だからこう言ってくるわけだけど。



「いいの。私じゃ釣り合わないんだから」


「由依はバカだね」



知ってますとも。



バカだから、片想いを10年も続けてるわけだし。



「1回、当たって砕けてみたら?」


「砕けちゃダメでしょ」


「だって、無理って言い張るから」



確かに言いましたよ。


言いましたけども。


言わないという優しさはないのか。

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