王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
我が家にカモがやって来た?





 チュン、チュン――。
 ピチチチチ――。

 小鳥のさえずりが、新しい朝の訪れを知らせる。
 可愛らしい大自然の目覚ましに、自ずと頬が緩む。

 コッケコッコー!
 コケーコッコッコッ!!
 コケーッ、コケーッ!

 しかし、続く我が家の鶏の目覚ましは少々騒々しい。

 コッケコッコー!
 コケーコッコッコッ!!
 コケーッ、コケーッ!

 しかも騒々しい上に、され掃除しろ、され餌よこせと、その追及はなかなかに執拗だ。

「……分かったよ。今行くから、ちょっとだけ待って」

 私は眉間に皺を寄せ、ムクリと寝台から身を起こした。

「とはいえ卵をくれるとあっちゃ、ありがたい事この上無い。にわとりサマサマってなもんよ」

 私はニンマリとほくそ笑み、温かな寝床を後にする。

 そうして手早く顔を洗って着替えをし、髪を結わえば、身支度はこれで完璧だ。

 え? 化粧?

 そんなものはここにはない。私は右手に箒、左手に手桶を持つと、ワンルームマンションならぬ、ワンルーム掘っ立て小屋の軋む扉を押し開けた。

「コッコ~、コケオ~、コケヨ~、おはよー」

 そうしていつも通り、小屋の隣の鶏小屋に向かう。鶏小屋の掃除と卵の回収から、私の一日が始まる。




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