王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~





 フレミー薬店は、行けばすぐにそれと分かった。

 場所は、王都の一等地。ミハルによれば、往診にもここからやって来るという。そうすると、ここは単に店舗というだけでなく、薬師の居住も兼ねているはず。

 目の前の薬屋を改めて見る。平屋家屋の表が店舗、奥が居住と考えれば、あまり広くはなかった。

 それにしても、表の通りに向けて掲げている、ゴテゴテと装飾過多な『フレミー薬店』の看板が、私の目にはなんとも胡散臭く映る。

 ……とはいえ、見上げているばかりでは何も事態は変わらない。

 ゴクリとひとつ喉を鳴らし、意を決して重厚な扉のノッカーを叩く。

「はーい、少々お待ちくださいな」

 まず、中から聞こえたのは、朗らかな女性の声。



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