王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~






 コンッ、コンッ――。

 朝食を食べ終えて、さて仕事に取り掛かろうかと腕まくりをしていたら、扉をノックされた。

 ……やだ。誰?

 村中皆が顔見知り。そんな村にあって、行儀よく扉をノックするなんて、奇特な住人はいない。

 来訪を報せる最もポピュラーな手段が、ここニーディー村にあっては最もマイナーだったりするのだ。

「はーい、少々お待ちください」

 お外モードの猫なで声で、扉に向かって一声かける。その間に、素早くスカートの中に鈍器を忍ばせる。

 物騒だな、って? いえいえ、こちとら女の一人暮らし。
 備えあれば憂いなしとはよく言ったもので、もしもの時の自衛手段を備えておかねば、おちおち扉も開けられない。

 なにより私は、有事以外にこの鈍器を振り上げる気など更々ない。




< 7 / 284 >

この作品をシェア

pagetop