クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
5、彼女はチョコよりも甘く
「先生、やっぱり私も手伝いますよ」
『リビングでテレビでも観てろ』と命じたのだが、落ち着かないのかキッチンにやってきた綾香。
時刻は午後七時過ぎ。
「じゃあ、野菜と豆腐切って」
仕方なくそう言えば、彼女は腕まくりしながら返事をした。
「はい」
彼女のインフルエンザが治って、十日が経った。
今は熱も咳もなく元気にしているが、まだ体重は戻っていないようで顔がちょっとホッソリしている。
保護者代理の俺としてはそこが気がかりで、今日の夕飯のメニューをすき焼きにした。
そう、彼女の病気がきっかけで、俺達は一緒に食事をするようになったし、ちゃんと話もするようになった。
だから、今は彼女が家庭教師のバイトをしていることや、日中大学の図書館で勉強していることも知っている。
門限については決めていないが、帰宅が遅くなる時は俺に連絡するということに決め、綾香も反対することなく守っている。
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