クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
そうやって互いの存在を認めて同居しているうちに、うちでの役割分担も決まってきた。
洗濯と掃除は綾香の担当。
別に気を使う必要はないのだが、彼女が『家賃代わりです』と主張してそうなった。
あと料理は基本、手が空いている者が作るが、彼女が作る時は、サバの煮付けとかナスの煮物とか、祖父母の家で食べるような料理が多い。
聞けば、両親を亡くして、一時期祖父母の家で暮らしていたからだと言う。
一方俺が作るのは、海外生活で生活していたこともあってベーグル、パスタ、グラタン、シェパードパイ……と洋食系。
ダイニングテーブルにカセットコンロとすき焼き用の鍋を準備すると、割り下を作った。
すると、チラリと綾香が俺の手元に目を向ける。
「先生って料理慣れてますよね?」
「煮物は綾香みたいに得意じゃないけどね。母親が料理が苦手で覚えたんだ。中学の時とか部活で腹減って、カップ麺だけじゃ満足出来なくて牛丼とか作って食べてたよ」
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