恋人未満のこじらせ愛
気付かなかった思い
そこから歩いて十分もすれば、目的地のショッピングセンターへと到着する。
大きなウッドテラスの入り口から中に入ると、ともかく圧倒された。
見上げる首が、少し痛くなるぐらいの大きな空間だ。六階まで吹き抜けになっている。

「やっぱすごいですね」と石見君は感心している。

「マーケティング部で…『一度は行って見てこい。仕事だ』って言われたんですよ」

「そうなんだ。じゃぁちゃんと見ないとね」

「『こんなに大きなもの作ってみたい』って…みんな、言ってるんですよ」

ここのデベロッパーは、日本で一・二を争う大企業だ。
うちの倍ぐらいはありそうな企業が手掛けている施設。正直、こんな大きなものに携わることは憧れでもある。

私達はエスカレーターに乗って、六階へと向かった。
六階と五階は、食べ物のテイクアウトのお店が主になっている。

二人でお店をくまなく回り、どんなお店が入っているかをチェックする。
やはり土地柄なのか少し高級なお店が多いが、若い女性が好きそうな、カラフルな彩りの和菓子や、可愛いパッケージのお弁当など、色々工夫しているお店が多いみたいだ。
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