社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
社宅生活
・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・

社宅生活

・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・


13時。

私が時間を忘れて荷ほどきをしていると、下から声が掛かった。

「のどかぁ、引っ越し蕎麦、食べに
行かない?」

え? あ、もう1時!

「はい!」

私が、片付けを途中でやめて、1階に下りると、玄関で靴を履いた修ちゃんが待っていた。

「近くに美味しい蕎麦屋があるんだ。
腹減ってるだろ?」

「はい。」

言われてみれば、お腹はペコペコだった。

「あ、下駄箱、俺のは左に寄せてあるから、
のどかは右半分使っていいよ。」

そう言って、私が靴を履くのを見届けると、玄関を開けて、外に出た。

鍵を掛けると、2本あった鍵の1つを私にくれた。

「これ、のどかの分ね。
平日は使わないと思うけど。」
< 21 / 257 >

この作品をシェア

pagetop